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2003.12.16

03・12・16 誰がために印税は成る?

私が東フィルの賛助会員になって2シーズンが経過しました。

日本のオーケストラはどこも経営的には苦しいと聞いています。オケの数が多いのか演奏家の数が多いのか、はたまた聴衆側にクラシック人口が少ないのか、なんとも言いがたいところです。

しかし巷には相変わらず音楽が溢れています。音楽自体が不景気とはとうてい信じられません。

さて、音楽家が手にするギャラや著作権料のうち、特に、著作権料は過去の仕事が生み出す利息みたいなものですから「おいしい」収入だろうと思います。

じつは、私の友人の吉岡誠さんが、もうかれこれ15年近く、デジタル時代の著作権保護技術の開発に取り組んでいまして、数々の特許も取得しています。吉岡さんのblogがまだできていないと思うので、かわりに米国特許を一つ参照しておきます。

著作権は音楽だけというわけではありませんが、でも、吉岡さんは日本のデジタル・オーディのパイオニアの一人である元コロンビアの穴澤さんなどとのお付き合いの中で技術開発を進めて来たことを考えると、やはりおもに音楽著作権が頭にあっただろうと思います。

「吉岡さんの技術が高い志に根ざしていることは認めるけど、だがしかし、その技術は一体誰の利益を守っているんですか?」というのがグラス片手に私がふっかける議論の一つです。

吉岡さんは大変な饒舌家ですが、私とて、たまには彼が口を挟むスキを与えないこともあります。

「音楽って〜ものは長いながい歴史の積み重ねがあって成り立っているわけでしょう。現代のポピュラーなヒット曲の和声進行やら対位法的な表現で19世紀までの西洋音楽の中に見出せないものはひじょうに稀でしょう。」

ダイヤモンドの和田さんが良く言っていることに、イミテーション⇒バリエーション⇒クリエーションというのがあります。
50wadadscf0485.jpgまずは物まねがある。つぎにそれを自分流にひとひねりするバリエーション。それを散々やり尽くした後に初めてクリエーション=創造の世界に突き抜けることができる、というのです。」


私ワダよねぇ♪ 03・12・18 和田昌樹さん Copyright 2003 Akira Kamakura

「現代の流行り音楽の大部分は過去のそうとう古い音楽文化遺産のイミテーションかバリエーションだろうと私は思いますよ。」

「で、もしも著作権という過去の遺産の利息を受け取る仕組みがどういう人にこそ授与されるべきか?といえば、当然、クリエーションの人でしょう。」

「でもクリエーションの人は皆あの世に行っちゃってるんで契約書にサインできない。」

「吉岡さんの技術は結局イミテーションやバリエーションの人たちを金持ちにしているんですよ。運良く金持ちになった人たちが更に研鑚を重ねてクリエーションの段階に進化してくれれば良いけれど、現実はお金というものは逆効果を発揮していると思いませんか?金持ちになったアーティストはだいたい色褪せて行く。だとすると、一体なんのための著作権保護だったのか?」

「非常に極端なケースだけど、最近逮捕された歌手のマイケル・ジャクソンの豪邸や豪遊は印税収入でまかなわれているわけでしょう、おそらく。」

「そう考えて来ると、音楽とか言語とか、とにかく人類の長い歴史の中での共通の蓄積があるものは、表現者はその蓄積にこそ多大な恩恵を受けているのであって、たまたまその遺産を上手にアレンジして使って見せたからといって、ことさら金銭的に優遇する必要はないのではないか?」

「ということは、もっと自由に著作物のコピーを許し、極論するとその対価を取ることを制限する方が、人類全体にとってはメリットが大きいのではないか?あるいはもう一つの案としては、著作権収入に対しては特別に厚く課税し音楽や言語などそれぞれの分野の基礎的な文化遺産の維持や拡充活動の財源にするとかね。吉岡さんの技術を生かすという意味では課税強化の方がいいかも知れない。」

吉岡さんと飲むと、だいたいグラス片手に何かしら議論をしていますね、はてしなく。

私としては、こんな議論を吹っかける一方では、とりあえずは東フィルの賛助会員になっている、というわけです。

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コメント

あははー。吉岡さんを挑発してますねえ。
ところで、イミテーション>バリエエーション>クリエーションを引っ張り出したついでに、「お布施」理論も紹介してくれるとよかったです。

投稿: 和田昌樹 | 2003.12.17 11:44

そうなんですよ、和田さん。吉岡さんのblogを早く見てみたいですね。梅棹さんのお布施とか、Richard StallmanのCopyLeftとか、いろいろありますが、ぼちぼちやります。

投稿: bee | 2003.12.17 13:16

この問題について、僕のBlogにとてもすてきな反応が出ていました。でも、僕らが使っているIblogでは,
安定したTracikBackが保証されていないので、とりあえず、サイトのアドレスをお教えしておきます。

http://homepage.mac.com/yuji_okamura/iblog/iSawIt/C957330442/E863136197/index.html

投稿: 和田昌樹 | 2003.12.19 01:03

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