04・01・11 ローマ字と逆ポーランド記法と三上章
「国文学 解釈と鑑賞」平成16年1月号は「三上章と奥田靖雄」の二人を「日本語文法の革新者」として特集しています。たまたま本屋で見つけて思わず購入。これが私のいらないモノを買っちゃう一つの典型。
文法門外漢たる私には、昨年の生誕100年記念三上フェスタのコーディネータだった阿藤進也氏の「論より証拠の私的三上章小伝」に興味深いネタがいくつかあります。
まず、三上の本を専ら出版して来た「くろしお出版」の創業者(現会長)の岡野篤信氏が、日本のローマ字運動の熱心な活動家だったということ。ローマ字運動の是非はともかく、この出版社の言語へのこだわりはなかなかすごいものがありますが、そういう背骨があったのですね。
先日も「日本語文型辞典 」グループジャマシイ (著) を本屋で見て、危うく買いそうになったのですが、これもくろしお出版でした。
もう一つオッと思ったのは三上氏が端切れに記したメモの写真が掲載されていて(130ページ)、それを見ると、
ニッポン記号!?とあるではありませんか。「そうなんですよ三上さん!」日本語プログラミング言語Mindをやって来た一人としてグイッと引き付けられるものがあります。
普通の記法 x=(a+b+c)×(p-q)/y
ポーランド記法 x((((ab+)c+)(pq-)×)y/)=
左から順に日本語の通りに読めばよろしい。…
1920年代にポーランドの数学者Jan Lukasiewicz(発音はWu-cash-ay-vich)が発明したとされるこの記法に彼は既に日本語を感じていたのですね。三上章が数学教師でもあったこととのつながりが感じられます。
残念ながら日付は不明ですが、メモの他の部分をみると昭和35年の「象は鼻が長い」を出した直後かと思われるところもあります。1961年頃でしょうか。ま、ちょっと違うけど似ているとも言えるKen IversonのAPL=a programming languageが生まれたころですね。
妄想するなら、日本語文法を考える時に彼はスタック操作すらイメージしていたのかもしれません。日本語プログラミング言語Mindを見てもらいたかった。
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コメント
同考の士を発見して欣快至極です。
小生も、三上章とMindに注目しています。
最近「象は鼻が長い」を購入して、付録2の近代論理学抄を一読、心機一転昔挫折した述語論理に挑戦しています。
チョムスキー一辺倒の構文解析に何か割り切れないものを感じていましたが、トンネルの向こうにかすかな光が見えてきたように思います。
今後もよろしくお願いします。
投稿: みどや | 2008.02.04 12:22