04・06・06 シラクとブッシュ「エリゼ宮の食卓」
本日6月6日は、1944年のノルマンディー上陸作戦"Operation Overlord"が決行されたD-Dayの記念日でした。今年は60周年で、EUが着実に拡大し融合する中で初めてドイツの首相も招待されましたが、なんといってもイラク戦争を巡る米国と独仏の対立のしこりの中での開催という点が興味深かったわけです。
NY Times 2004・05・31 IHT 2004・06・04
NYTの記事を転載した左のIHTはD-Dayの日付を7月6日と誤植した。右のIHTの写真はロバート・キャパの作品
フランス側には、この秋、ブッシュ再選との読みがあるようで、どうせさらに4年間付き合う宿命ならば、ブッシュとの関係を修復する必要があると考えているようです。
で、今流れているasahi.comの報道では、5日夕、「…米国のイラク政策を一貫して批判し、新決議案の修正を求めてきた仏が初めて「決着」に言及した…、…両者は仏大統領府で約1時間会談した後、共同会見を挟んで夕食を共にし、…」となっているわけです。
問題はこの夕食です。数日前のニューヨーク・タイムズによるとこの夕食はシラク大統領夫妻とブッシュ大統領夫妻だけのエリゼ宮でのプライベート・ディナーらしいのです。
西川恵著「エリゼ宮の食卓」(新潮文庫)によりますと、フランス大統領は賓客をもてなす際に、料理やワインのメニューで、判る人には判ってしまう、かなりあからさまな外交的メッセージを込めているというのですね。
なにしろフランスワインにはオフィシャルな格付けがあります。かといって格付けだけがすべてでもなく、格が低くてもワイン好きの評価は高いものもある。ヴィンテージの良し悪しもある。古いものもあるし若いものもある。ブルゴーニュやボルドーといった中心地もあれば、プロバンスのように有名ではあってもワイン的には場末感漂う地域もある。ブルゴーニュなら畑と作り手の組み合わせもある。
といった具合に、この客になぜこのワインを出したのか?と考えさせる含意を詰め込むことができるわけです。ワインがわからない政治家は困るでしょうね。帰国して家に帰ってワインガイドブックを開いて初めて喜んだりガッカリしたりするようではフランスとの外交は務まりませんな。
この本には、諸外国の元首だけでなく、今上天皇、宮沢首相、羽田首相、海部首相、村山首相などのメニューが紹介されその意味を解読してくれています。とてもおもしろい。
そして今回、ブッシュ大統領がどんなワインを飲んだか、とても興味深いところですが、そこまで取材できるジャーナリストがいるかどうか、ですね。
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コメント
流石ニューヨークで鍛えた”ジャーナリスト鎌倉”はんどす。
ワイン、フランス文化、政治、踏まえてどうか?
田舎者テキサスの牧場主さんには銀座で一番高い、ブルゴーニュのワインにしとくな。
シラクのおじさんは法隆寺の救世観音か百済観音かどちらか忘れたけど、えろう気に入っておられる。今回日本から持って来て、喜んでおられるそうです。歴史の無い国が歴史の有る国と対抗するには金と武力しかないやろな。唯一の歴史がノルマンデーですね。
投稿: jo | 2004.06.07 22:47