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2004.06.14

04・06・13 岩城宏之指揮の東フィル定期

11日の金曜日は岩城宏之指揮の東フィルの定期を聴きました。サントリーホールです。

この夜のプログラムはチェコの作曲家が基本テーマで、私初耳のホフスラフ・マルティヌー、ヤナーチェク、そしてドホルザーク。ちなみに6月17日オペラシティ定期の方はハンガリーがテーマになっていました。

岩城プログラムは去年は黛敏郎でしたが、今年と併せて感じる隠されたテーマはアジアの血というか、日本とどこかで繋がっているかも知れないフン族の感性かも知れません。私の思い過ごしかも知れませんが。

さて、だいぶ古い話になりますが、まずは去年の演奏から。

黛の涅槃交響曲のカンパノロジーは、鐘の音をスペクトル解析して個々の楽器に音を割り当て、もとの一つのゴーンという響きを再構築しようという野心が込められた作品です。

私がいた二階席にそのスペクトルを合成する管楽器が何人も並んで、岩城の背中と肘での指揮で音を鳴らしていたのでした。一人一人の奏者を見ていると、時々、ボワーとかプーとか鳴らすことになります。

カンパノロジーはライブで聴かないと良さが分かりにくい。学生時代にレコードで聴いた時は格別の感慨はなかったのですが、去年の生演奏は確かに美しいと感じました。

そして、もう一つ、やはり30年の歳月を感じました。作曲家がとっくに故人となり、いろいろな雑音も治まり、黛に対するジワーッとした尊敬の念がようやく抵抗なく広まっているように感じました。まさに岩城が熱心に黛の偉大さを説いているとプログラムに書いてあったように記憶していますが、それが演奏ににじみ出ていました。

次に、今年のプログラム。

マルティヌーは「フランチェスカのフレスコ画」日本初演。チャーミングでした。この作曲家をもっと聴いてみたいと思いました。ヤナーチェクは「シンフォニエッタ」。いちどこうして生演奏を聴くと、持っているCDもさらに聴きやすくなります。

そしてドボルザークの交響曲第9番「新世界」。
DSCF3897.JPG新世界第二楽章 2004・06・13 横浜市都筑区 Copycenter 2004 Akira Kamakura
岩城氏は「作曲家が譜面に書いた通りに演奏すると」とのことで「心を鬼にしてテンポをキープする」とプログラムには書いてあります。聴く方の私としては、そもそも、新世界マニアでもないので、これといった基準もありません。

しかし暗示に掛かったのか、なんだかスッキリした新世界だと感じました。没後100年という歴史の中で、この作品に様々な先入観が塗り込められて来たのを、いったんそれを大掃除して取り除いて味わってみようという考え方は好感がもてました。

岩城氏は作曲家にとっては厳しくも有り難い味方なんじゃないでしょうか。聴き手にとっても、新しい世界を教えてくれる指揮者は嬉しい存在です。

とかなんとか言って、この新世界、じつは、私はチューバ奏者(荻野晋)の様子をズーッと観察していました。なにしろ新世界というのはチューバの出番がほんのちょっとしかないので、それ以外の間をどう過ごすが、けっこう辛いらしいのです。

TBSラジオの宮川まさるのパカパカ90分とかいう番組があります。聴取者のバカ大人が自分の失敗談を競うという企画。ある土曜の夕方、ゴルフ帰りの車の中で聴いていたら、さすらいのチューバ吹きと称するバカ大人が登場して、東京からわざわざ仙台までエキストラで新世界を吹きに行って、本番で眠ってしまって吹き損なったという。それが頭にあったものだから、チューバ奏者に注目してしまったのです。

岩城版では、チューバは第一楽章の終わりの部分と第二楽章の頭のところだけを吹いたように見えました。たぶん、第一楽章も吹いたのは目の錯覚ではなかったと信じています。逆に見落としもあるかも知れませんが。これはでも、普通は第二楽章だけらしい

チューバは重たそうな大きなラッパですからヒマな時は横に置いたまま。荻野さんは見たところ両国の相撲部屋から出て来て間違ってオケに座らせられたような風情で、第一楽章の大半を時に自分のおへそを眺めつつ居心地悪そうにしていました。で、第二楽章の頭を吹き終わるとまたジーッと耐えていました。でも居眠りはしなかったと思います。

最後に一言、岩城氏は楽屋からステージに登場する時はちょっとヨロヨロしていて心配させます。正直なところ、何十年も氏を見ている私としては、なんだか執念で指揮台に上がろうとしているように感じられてウルウルとしてしまいます。

ところが、岩城氏は指揮台に上がると嘘のようにキビキビと棒を振ります。だから演奏が終わった後はウルウルしない。

でも指揮台から降りるとまたヨロヨロと楽屋に引き上げて行くので、拍手がウルウルしてしまうのです。

これからも岩城氏の指揮とプログラミングを楽しみにしています。

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コメント

私も中学生の頃チューバ吹きでした。新世界は吹いたことがありませんが、確かにどの曲でも出番が少なく物足りない思いをしました。
パート譜に、いきなり百何十小節休み、と書いてあったりして。それをイチ,2,3,4,ニイ,2,3,4,...と数えているうち小節数が分からなくなって吹き損なった、ということはあります。さすがに本番ではありませんが。

投稿: yoshioka | 2004.06.15 19:28

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» 06・06・14 さすがの岩城宏之さんも力尽きたか… [またいらないモノ買っちゃったよ]
「指揮者」岩城宏之氏が病気で亡くなったとのこと。人間である以上、誰にもその人なりの寿命はあり、岩城氏もある意味、十分にその生命を燃やし尽くしたようにも見える。それでも残念でならない。私にとって氏は黛敏... [続きを読む]

受信: 2006.06.15 06:16

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