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2004.09.22

04・09・22 遺伝子組み換えの植物はなぜ恐ろしいのか?

よく手入れされたゴルフ場の芝は雑草一つ生えておらず見た目にはきれい。でも、それは除草剤を使っているからであって、みんなそのことを知っているので、無邪気に芝の上に直に座ったり寝ころがったりする人はあまり見かけません。

少しぐらいスズメノカタビラとかチドメグサが生えていた方が私なんかはホッとします。そもそも30年以上前、私がゴルフを始めた頃に教えられたのは、ゴルファーたる者、コースで雑草を見つけたら率先してむしりなさいということでした。

しかしながら現実は厳しくて、そんなのんきな方法で美しいコースを維持できるはずもなく、コース管理をする人はどうしても除草剤に頼ることになる。

ところが除草剤を使うと芝生自体にも効いてしまうという悩みがあるらしい。そこで、モンサント社は、有名な除草剤「ラウンドアップ」にだけは負けない強い芝を、専門のスコッツ社に遺伝子組み換え技術で開発してもらい、除草剤と芝生をセットにして共同でマーケティングするプロジェクトを進めて来たようなのです。お断りしておきますが、実際このような作戦にもとづいて開発が企画されたのかどうか真相はわかりません。ただ外野からはそう見えるという意味です。

マーケティングの事例としては何やらマッチポンプ的なしたたかさがある面白い話なのですが、今朝のヘラルド・トリビューン紙の記事を読むと、これは面白いでは済まされない深刻な問題をはらんでいることがよくわかります。

その記事ですが、除草剤「ラウンドアップ」に耐えるベント芝を実際に400エーカーという規模で育成して見て、環境への影響を調べた結果のレポートです。

1エーカーは0.4ha。日本のゴルフ場の広さは18ホールでおおむね80ha前後、つまり200エーカーです。したがってこの育成実験は本物のゴルフコースに全面的にこの芝を貼り付けることを想定した極めて実践的なものだったことがわかります。この問題に決着をつけてやろうという決意を感じさせる迫力があります。

で研究の結果、その遺伝子組み換え芝の花の花粉が風に乗って13マイル=21キロメートルもの遠方にまで飛んで行ったことが確認され、実際、9マイル先の天然芝がこの花粉を受粉したことが判ったというのです。

そもそもこの芝ですが、除草剤に負けないのですからこれ自体がじつは雑草化する恐れがある。その花粉を受粉した天然芝にも除草剤に強い遺伝子を伝播させる恐れがある。しかもその花粉は遠くまで飛んで行くので相当なスピードで広まる可能性がある

一つの草が蔓延れば在来種が滅びる。在来種が滅びればそれに依存していた生物も滅びるかも知れない。生物多様性のネットワークの中で影響がドミノ的に広まることが懸念されるわけですね。

正直なところ、食品としての遺伝子組み換え植物については私はほとんど気にしていませんでした。わざわざ遺伝子組み替え納豆を食べてみたこともあります。

しかし、ゴルフ場の芝の一種であるクリーピング・ベントグラスの遺伝子組み換え品種は誰も食べたりしないけど、とても不吉な予感がします。先日、クズがアメリカ南部で蔓延っているという話を紹介しましたが、まさに、至るところにこの遺伝子組み換えベント芝が蔓延ってどうにも退治できず、どんどん他の植物が駆逐されて行く情景を思ってしまいます。

この悪夢のような問題に比べたらゴルフ場の雑草なんて可愛いものです。コース管理者は完璧主義を捨てて、もっとおおらかな美学を内面に育てた方がよろしい。例えば、私は友人のゴルフ場経営者に時々迫っているのですが、コース内にローマンカモミールを絨毯のように植えてみないか、と。そりゃ従来のコース管理の立場からいえば雑草みたいなものだろうけど、踏めば青リンゴの香りが立ち上る草は魅力的だと思うのですがねぇ。

もっとも私が心配するまでもなく専門家は遺伝子組み換え問題に対して極めて慎重であると私は信じています。園芸家の永遠の夢と思われていた「青いバラ」がサントリーの遺伝子組み換え技術で実現され、先日の浜松の花博に出展されていたそうですが、花粉が外部に飛散したり昆虫に接触することがないように細心の注意をはらって展示されていたと何処かで読みました。

遺伝子組み換え植物の問題とはこういうことだったのかと、ことがゴルフがらみだったので私には理解しやすくて、まさにスィートスポットに球が当たったみたいにハッと気付かされたのでした。

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コメント

遺伝子組み換えは そういう意味で怖いですよね 実は 米国や豪州の茄子はおばけ茄子ですが、あれを日本で栽培すると 周りの日本のなすが 巨大なお化け茄子になるそうですね。
さらに 古代蓮があるんですが 遺跡から見つかったんですが これが凄い繁殖力で 周りの蓮が古代蓮化するんだそうです
夏休みに 娘のためにコーカサスカブトムシ(東南アジア)を飼ったんですが 沖縄では 混血化しているらしいです
遺伝子組み換えで 製造した良いと思われる繁殖形質が 雑草とかに取り込まれると たいへんなことになるのは目に見えてます
マイケル・クライントンのロスト・ワールドでは ジュラッシクかな? オスだけのワールドで 雌化して 繁殖するなんてありますが あれはあることなんですね 自然は 人知で変えるのは怖いです
実験的に出来ることと 実際の応用することには 大きなギャップありますよね

投稿: blue | 2004.09.26 21:44

blueさん、米ナスや古代蓮のちょっとコワイお話をご紹介いただきましてありがとうございました。

遺伝子操作の技術を手に入れたと言っても、その環境への影響を予測する技術は、まだまだ未熟でしょう。無数の生物の生態の絡み合いのネットワークを解明することが先決でしょうね。

投稿: bee | 2004.09.27 23:48

こんにちは!遺伝子組み換え植物にしても原発にしても、本来、科学者はとっても慎重だと思います。なのに、どこかで「絶対安全」宣言をしてしまう人がいることが恐ろしい・・・。それにしてもローマンカモミールが絨毯のように植えてあるゴルフコースなんて、素敵すぎます!

投稿: 永山 淑子 | 2004.09.29 00:30

永山さん、ローマンカモミール・カントリークラブ、ご賛同いただき心強いです。今のゴルフ場はハーブの香りを活用していないのが残念ですよね。

投稿: bee | 2004.09.29 12:06

Bzzaholic meetingのsatoです。
トラバの連絡遅くなってすみません。
自分が書くときに非常にわかりやすいなーと
感心したのでトラバさせてもらいました。
これからも覗かせていただきますので、
よろしくおねがいします。

投稿: sato | 2004.10.07 08:45

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