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2005.03.19

05・03・19 シキミ語源再考

50DSCF3636シキミが咲き始めました。うちの近くの墓地で見つけました。

シキミは毒のある「悪しき実(ミまたはビ)」と言われていたのだが、「あ」が取れてと「シキミ」「シキビ」になった、というのがよく紹介されている語源説なんですが、「あ」がなぜ省略されなければならないかがわからない。面倒だから短縮したというのなら、今頃「アシカ」は「シカ」になっているだろうに。

国語辞典で「シキ」で始まる語をザーッと眺めて、もともとは頭に「あ」が付いていた可能性がある言葉を探してみても、そんなのないですよ。

先に私の説を言ってしまうと、「シキミ」の「シキ」は「式」だと思うのです。特に葬式でしょう。

「ミ」あるいは「ビ」はもともとのヤマト言葉だとして、「シキ」は渡来語だろうと想定します。ヤマトなら「マツリ」でしょうから。

新潮国語辞典では「シキミ」が万葉集巻20-4476に「之伎美」と綴られているとあります。

奥山の しきみが花の 名のごとや しくしく君に 恋ひわたりなむ
歌の意味は「シキミ」という名前のように「シクシク」というのですが、ちょっと待ってくれ、名前の音に忠実になるなら「シキシキ」ではないか? 逆に「シクシク」の音の方から逆算すると「シキミ」の当時の発音は「シクミ」だったことが示唆されます。

ハングル辞典によると「式」は식で、発音は「シク」に近い”shik”です。そして「シクシク」=식식の意味は「息せくさま。はあはあ。」とあり、要するに喘ぎ声の擬声語ないし擬態語のようです。

このハングルのシクシクをあてはめた方が上の恋歌の意味もわかりやすい。

ということで、もともとはハングル風に子音をきかせた「シクミ」だったのが、和風に母音を付加して「シキミ」に変化したというのが私の結論。

学名Illicium religiosumの命名者はシーボルトとツッカリーニとなっていますから、18-19世紀の日本でのシキミが宗教儀式と密接に関係していることを観察して学名に取り込んだものと思われますし、「シキミ」は「式」の実だと説明を受けていた可能性もあるでしょう。「悪しき実」だと教えられたら別の学名を考えたのではないでしょうかね。

「悪しき実」説を全否定するみたいですが、恐らくこちらの方は、子供たちが間違って食べたりしないように諭すために、別途、編み出した言い伝えではないでしょうか。

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コメント

 面白いですね

 写真で(しきび)を見て、ああこういう花だったなあと思い出しました。
当方の育った村にも、墓場の近くに群生させる場所があって、伊予では(しきび)と呼びます。

 (しき)は式だろうというのは同感です。
(み)あるいは(び)は何でしょうね。
今の日本での発音だと(み)は実、身、見、などが思い当たります。
これらは(び)とは発音されませんよね。
一方、万葉集で(之伎美)と表記されているとすると(び)は美かもしれないと想像されます。
美は(み)とも読まれますからね。

 式美、と書くとなんとなく(しきび)の役割を表しているようにも思えて来ますがいかがでしょうね。

投稿: ふうてん | 2005.03.19 23:11

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