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2005.05.08

05・05・08 「わが青春のマリアンヌ」"Marianne de Ma Jeunesse"

最近どこかで放送されたらしいこの映画を収録した自家製DVDを、ありがたいことに、先日とある方からお贈りいただき、連休中にじっくりと鑑賞しました。

私自身、たぶん60年代にNHKテレビで放送されたのを何度か観て妙に印象に残っており、かねてよりその秘密を確かめたいと思っていました。ようやく願いがかないました。

あの頃、この映画のちょっと照れくさい題名は我々の世代の共通のヴォキャブラリーになっていたはずですが、時代は次第にこの作品を忘れ去りつつあります。

私の場合、「印象」と言っても、森の動物たちとの神秘的な交流能力をそなえたヴァンサンという少年が、霧に閉ざされた湖の向こう岸の幽霊屋敷に幽閉されている美しいが精神を病んでいるらしいマリアンヌに恋をする、というところしか憶えていない。

あらためて観たり調べたりしての感想などを以下に。

この物語は、ハイリゲンシュタットの寄宿舎に新入りのヴァンサンを迎えたマンフレッドという18歳で最年長の少年による20年後の回想という形をとっていたことに改めて気づきました。ヴァンサンの一人称ではないのですね。

更に、この作品ができた1954-55年頃、監督のジュリアン・デュヴィヴィエはだいたい60歳。人生を俯瞰できる年齢になっていた。寄宿舎の雑役係らしい老人も幽霊屋敷の男爵も監督の分身だと感じます。

私自身、昔はヴァンサン当人に感情移入していたでしょう。今は距離を置いて見ることになりますが、それなりに観られるのがこの映画の作りの奥行きというものでしょう。

この作品を成立させる上でヴァンサン役のピエール・ヴァネックのちょっと斜視で焦点の定まらない目線、どこか遠くをぼんやりと映しているらしい虚ろな目、これが決定的に重要。この映画の印象の大半は彼の目線だったような気がします。

今回初めて知ったのですが、この作品は我々が親しんだフランス版の他にドイツ版があります。そちらのヴァンサン役は目が顔の中心に寄っている俳優が演じているのです。監督はもちろんマリアンヌ役も含めて他の殆どのキャスティングは同じだったようですが。やはり斜視じゃないと湖に霧は立ち込めないし鹿と交流はできないでしょう。結局後世に残ったのはフランス版でした。

短期滞在で寄宿舎に来た教授の親戚の娘リーズは、ヴァンサンの前に二度も若い裸体を投げ出して大胆に誘惑するのだけど、彼は全く無視するんですね。これがマリアンヌとの一つの対比になってはいるのだけど、モーツァルトを演奏するほど芸術をたしなむこの少女の描き方がなんとも冷淡かつ浅いというか、ヴァンサンと魂の交流があるらしい森の動物にも劣る扱いなのは何故だろうと感じます。監督の心の傷なのかも知れませんね。

ただ、この少女の存在がそもそも私の記憶に残っていなかった。こんな裸のシーンがあったっけ?という感じ。ひょっとすると1960年代のNHKテレビはこれらのシーンをカットして放送していた可能性もあるなと思いました。

そういえはヴァンサンがギターを彈く少年であったことも私は忘れていました。

この映画では、誘惑少女のリーズが来た晩に寄宿舎をあげて音楽会をやるシーンがあって、そこでは「軽やかな魂を歌うモンテヴェルディか若さの象徴モーツァルト」を演奏します。またヴァンサンが旅立つ最後の方のシーンでは雑役係の老人が「今夜は君の想い出にコレリのソナタを演奏するよ」と言うのです。

モンテヴェルディ、モーツァルトからコレリへという三人の作曲家のイメージがヴァンサンの心の成長や変化を暗示しているようにも受け取れるのですが、コレリのイメージが私には具体的でないので、理解できない。これは残念でした。

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コメント

デュビビエの魔術

 この映画はNHKBS2で数年前当方も見ました。
例によって録画はしましたが・・・・。

 モノクロ時代の映像としてはデュビビエはやはり素晴らしいと思います。
カメラマンの名前も知りませんが、あの流れるようなカメラワークにはデュビビエの意図も働いているのではないか、と感じさせられます。

 森の中をさまよう(にんじん)と呼ばれたソバカスだらけの少年の映画も印象に残っていますね。

 今はシネマコンプレックスで沢山の画面がある時代になったので、こういう古いフランス映画とかドイツ映画とかやってほしいですね。

 この間は文学論、今回は映画論を鎌倉さんから久しぶりにお聴きしました。

投稿: ふうてん | 2005.05.09 02:30

 アルフィーの曲で,「メリーアン」という歌が,この映画から触発されてできたと聞いて以来,この映画を見たいと思っていているのですが,未だ果たせないでいます。以前からレンタルビデオ屋を当たっているのですが・・・。

投稿: Alice堂 | 2005.05.10 01:50

Alice堂さん、私もビデオ屋で探したことも幾度か。でも無いですねぇ。

アルフィーのその曲、知りませんでした。こんど聴いてみます。

ところでアルフィーの高見沢さんという人、明らかに年齢的には私より下ですが、学生時代クラシックギターのサークルで一緒にギターを弾いていた仲間の高見沢くんに容貌というか骨相がソックリ。あの二人は兄弟なんじゃないかとズッと疑っております。彼はサークルの中でも特に芸術志向が強い人でした。

投稿: bee | 2005.05.10 07:05

 やはり,ビデオ屋には無いんですかねえ。アマゾン書店で検索してみると,ビデオが発売されているのは確かなんですが。
 ところで,アルフィーの高見沢氏は,容貌よりも実年齢は高く,たしか昨年か一昨年に,50歳の誕生日を迎えたはずです。それでもbeeさんより若いですか?

投稿: Alice堂 | 2005.05.11 03:27

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