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2005.06.12

05・06・12 ふうてん平均律講座

平均律とは何ですか?とふうてん遊民さんから質問されています。

十二平均律を「数学的」に説明するのはとても簡単なんですよ。

例えば440ヘルツの音を基準にして、その1オクターブ上の880ヘルツまでの間に、出発点の音を0番目=T(0)としてとして12番目=T(12)まで半音ずつ高くなる音を並べる平均律を構成することを考えます。

十二平均律とは、n番目の音を、440*2^(n/12)という式で計算する調律法のことを言います。

n=0なら2の0乗は1ですから440のまま。n=12なら2の1乗は2ですから440*2で880と、確認できます。

階名で言うと、nは、0:ド 2:レ 4:ミ 5:ファ 7:ソ 9:ラ 11:シ 12:ド という対応になります。

途中の音も一つぐらい計算しておきますと、
「ソ」はn=7ですから、440*2^(7/12)で、約659.26となります。

数式をジッと眺めれば、この調律では、つねに隣り合う二つの音の振動数の比率が、2の(1/12)乗という定数になっていることが読み取れます。
T(i+1)=T(i)*α ただし、α=2^(1/12)

高校数学を懐かしく思い出すと下の漸化式になります。この方が十二平均律の考え方が分かりやすく表現できていると思います。

T(1)=T(0)*α
T(2)=T(1)*α
T(3)=T(2)*α

T(11)=T(10)*α
T(12)=T(11)*α ただし、T(12)=T(0)*2

αとはどんな数値になるのか?

それを求めるには、まず両辺を全部掛け合わせます。それでも等号は成立しています。更に両辺を共通項T(1)*T(2)*…*T(11)で割ることで、
T(12)=T(0)*α^12 となります。
ここでT(12)=T(0)*2ですから
2=α^12となり、α=2^(1/12)が導かれます。

仮に計算の出発点をT(0)ではなくてT(2)に置いて、

T(3)=T(2)*α
T(4)=T(3)*α

T(12)=T(11)*α
T(13)=T(12)*α
T(14)=T(13)*α ただし、T(14)=T(2)*2
としてもαの値は同じになります。

しかも、大事なことは、計算される途中の音が全部さっきの計算とピッタリ共通の振動数になることです。

一つのメロディーを作ったとします。その出だしの音をT(0)にしようがT(2)にしようが、メロディーの形は完全に保持されるのです。

もっとも、この説明は、平均律になじんだ現代人にはまったく当たり前のことであって、それがどうしたと言われてしまいそうです。

コンピュータ方式になぞらえて言うと、平均律で書かれた音楽は、ベースレジスタの指定に従って記憶装置のどのアドレスに置かれたとしても、その位置に関係なく同じ処理結果を保証してくれるPosition Independentなプログラムのようなものです。

かつては、音の開始位置をずらすと音楽の形が歪んでしまうという悩みがあったことを理解しないと、平均律のありがたみはわからないと思います。

その悩みの解説はまた機会を改めることにします。

起立、礼、就寝。

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コメント

ふうてん平均律講座ありがとうございます

 なかなか難しそうですね。
Position Independentと聴いて、リロケータブルとか6809とか思い出しました。
また、貴兄に作ってもらったLogoのプリミティブも思い出しました。

 2の(12分のn乗)のように対数表現となるところが面白いですね。
大体、周波数、例えば440ヘルツということが既に我々人間には物理的な現象として理解しづらい領域にはいっています。
どうして(ド)の音が440ヘルツなのでしょう。

 目で見えることは分かり易いのですがねえ。
大きいとか小さいとか、太いとか細いとか。
残念ながら音というのは目に見えませんものねえ。
ひょっとして(時間)がからんでいるからなのでしょうか、難しいのは。
ホレッ、この音や、いうても、もう聴こえませんものねえ。

(かつては、音の開始位置をずらすと音楽の形が歪んでしまうという悩みがあったことを理解しないと、平均律のありがたみはわからないと思います。
その悩みの解説はまた機会を改めることにします。)

 是非、いつかそのうち、平均律とそうでない音律(純正律?)との違いも一文お願いします。
もっとも、解説して戴いても、楽器、それもいろんな楽器をこなせないと本当のところは分からない、理解出来ないのでしょうかねえ。

 パコ・デ・ルシアがジャズ・ギターの連中と初めてぶっつけ本番で共演したとき、アドリブというのに慣れてなくて頭痛がしたと述懐しています。
アドリブというのですか、即興演奏ですね。
その時、平均律を使う事によって凌ぐ事が出来た、とも語っていました。
最初は知らない世界に飛び込んでいくようで怖かった、でも慣れると快感に変わった、とも。

 楽器をうまくこなせない当方にとってはサッパリ分からないのですが、貴兄のこの講座で、ちょっとだけヒントめいたようなものを戴いたような気がします。

起床、礼、エビス・ビールの小瓶

投稿: ふうてん | 2005.06.13 02:10

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