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2007.01.14

07・01・14 ウィリアム・ワイラーの「孔雀夫人」("Dodsworth")

DSCF0482一昨日、1月12日金曜日の日経朝刊を見てビックリした。春秋コラムにこう書いてあった。

無類の映画ファンだった作家の池波正太郎さんは、洋画の邦題にも一家言あった。戦前の名作「孔雀夫人」や「たそがれの維納」を例に挙げて言う。「すぐれた映画には考えぬいたいい題名がついている」(『映画を見ると得をする』)…

DSCF0484じつはその前日、私はまさに「孔雀夫人」のDVDを買ったばかりだったのだ。探していた別の監督の作品は見つからずに、長らく気になっていたこっちが偶然見つかった。今となっては全くマイナーな作品。それが翌朝の日経のコラムの話題に取り上げられるとは、なんたるシンクロニシティ!

WNYCのpodcastingにFishko Filesという番組がある。サラ・フィシュコという人の芸術に関するオーディオ・エッセイである。その彼女が、July 08, 2005の放送で、ウィリアム・ワイラーを取り上げた。まだVHSがなかった頃、テレビで時々放映される「我等の生涯の最良の年」を映画の主人公たちと同じ境遇だった戦争帰りの父親と一緒に観て、いつも涙を流すのも一緒だったという思い出話である。

Podcastingでは、それより更に10年遡る1936年作のワイラーの作品"ドッズワース"により長い時間をさく。興行的には成功しなかったが、原作、俳優、そして監督が見事なハーモニーを奏でた名作だというような趣旨である。記憶の隅に引っ掛かっていたこの話を、店の棚のDVDタイトルを見た瞬間に思い出したのだった。

DVDの「孔雀夫人の見どころ」というボーナストラックにこんなことが書いてある

…UA宣伝部員として初公開を担当した淀川長治氏は「興行関係者がおかしな日本題名をつけたために、商売は大失敗した」と語る。…
池波先生とはかなり違う意見だ。

この映画は、ドッズワースという、教養や洗練とは無縁だが、誠実で家族想いで、事業家精神あふれる非文学的な男を実に愛情あふれる眼差しで描いている。主人公はアメリカそのものであろう。伝統にとらわれ停滞するヨーロッパと活力あふれるアメリカ資本主義の対比がある。ヨーロッパに対するアメリカ人の劣等感と自信の複雑なモザイクも見える。

老境に入った無骨で不器用な男がラストシーンで華麗なロマンスの主人公を演じるのは、実に微笑ましくも感動的である。

結論的に、私も淀川長治氏と同じ意見。この映画の題名は、ラストシーンと共鳴するような、何か別のものであるべきだと思う。

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