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2008.02.06

08・02・06 ギターのナイロン弦の不思議

このところ毎日のように寝る前のわずかな時間にギターを弾いているのだが、どうにも首を傾げたくなる不可解な怪現象に遭遇している。

それはこういうことだ。

前夜ケースにしまったままのギターを24時間ぶりに取り出して、調弦をチューニング・メーターで調べると、1弦から3弦あたりが前日よりわずかにピッチが上がっているのだ。引っ張られた弦は伸びる一方だから下がるのならわかる。それが逆に上がっているから悩むのだ。楽器はケースの中でじっとしていただけだから、もちろん、誰も弦を巻き上げてはいない。

一般的には、ひとたび巻き上げた弦は、一定の張力の状態に達したとしても、糸巻とか駒とか弦のたるみが生じる箇所があり、演奏の振動などの刺激を受けて次第にそうした部分のたるみが解消される結果、巻き戻したのと同じ効果が発生し、張力が低下し、ピッチは下がる。

そもそも、一度巻き上げた弦の張力は自然放置したら後は下がるしかないだろう。にもかかわらず24時間後にピッチが上昇したという現実を認めるなら、考えられることは、弦の材質の密度が低くなったというか、単位長あたりの質量が低下したというか、そういう材質の変化が起きたのだろう。

現在、ギターが置いてある部屋の湿度は36%で温度は21度だ。かなり乾いていると言ってよいだろう。例えば弦の材質が湿り気を宿していたとして、乾燥した環境におかれた結果水分を失い質量を失い、結果的に同じ張力でもより軽やかに振動し、ピッチの上昇を来す、ということはあるかも知れない。

ただ、それにしても、実際に音を鳴らしている実感からすると、あまりにも短時間のうちにピッチが変化するのだ。24時間どころかほんの10分でも狂うのだ。

科学的に誠実であるなら、木できできたギターの本体が伸びをするように長くなる可能性も考えなくてはいけないが、残念ながら、弦長650mmの私のギターは今も650mmのままだと思う。※毎晩長く伸び続けたらどうなることやら※

ということで、原因は弦に、だから弦因だろうとは思う。

しかし何故だろう。

もしかしてと思うのは、私の妄想だが、製造してから年数のたった古い新品の弦の場合、ミクロ的に見るとナイロンの表面には無数の亀裂が生じている可能性がある。だいたい古いプラスチックはそんな感じだ。亀裂があるということは空気に触れる表面積が広いということだ。もしも空気に触れることによって、特に低い湿度条件のもとで、プラスチックの成分が飛んで行ってしまう?ことがあるのなら、それにより質量が減少して、結果的に同じ張力でも振動数が高くなるという可能性はあるだろう。

我々が使っているギターの弦は、昔はガット、羊の腸で作っていたという。私自身、本物のガット弦はいちども見た事がない。ガット弦時代のギタリストは、それはそれは大変な苦労をしたという。セゴビアがどこかで発言していたが、当時のギタリストは演奏している時間よりも調弦している時間の方が長い!と皮肉を言われていたという。もちろん、ガットはどんどん伸びてピッチが下がるから、絶え間のない調弦を強いられたに違いない。

DSCF1453ナイロン弦は、アンドレス・セゴビアがたまたまデュポン社製の試作品に出会い気に入ったことから始まった。商品化はデュポンではなくギター制作家のAugustineが担当した。今日でもオーガスチンのギター弦のパッケージにはセゴビアの顔写真が使われているのはそういう理由だと推測する。

で、この時、セゴビアをオーガスチンに引き合わせたのがVladimir BobriというGuitar Review誌の編集長だ。

DSCF1441
私が30年ほど前、富士通の社員としてニューヨークに駐在していた時、名前だけであるが、この雑誌の発行元の古典ギター協会?だったかに会費を払って会員登録していた。結局集まりには一度も出席しなかったが、手元に機関紙が残った。

DSCF1439当時も編集長はこのボブリという人だった。彼はイラストレーターでもあったのか?表紙は彼のデザインだった。もちろんギタリストでもあって、当時ためこんだ雑誌に掲載されていた彼の編曲によるグルジアン民謡を題材とした素朴で愛らしいギター二重奏曲を数年前に友人と演奏したことがある。

話はそれたが、ギターの弦は60年前からどれほど進歩したのだろうか?

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コメント

@大棟梁です。

確かに僕も3~1弦のピッチが上がるのを感じています。張りたては当然どんどん伸びているけれど、安定したあたりで4~6弦は変わらないのに、ナイロン弦が高くなっている。絶対音感が無いので、低音弦が下がったかと思っていましたが、良く考えたら摩擦係数の高い低音減は、張りたてでも早く安定していますよね。
質量が変わるところまでは考えなかったなぁ。

話は変わりますが、いつかお話した通り『ギターは健康のバロメーター』。一月の末に右手中指の爪を割りました。正月の不摂生のせいか。まだ伸び足らず、そうなるとあまり弾く気が起こらず、左指も軟化して、仕方が無いので酒を飲む、という悪循環に陥っています。

投稿: @大棟梁 | 2008.02.08 17:32

補足しますと、部屋の温度が低かったわけではないので、弦が収縮したということでもないと思います。真相やいかに、ですね。golf

投稿: bee | 2008.02.08 23:14

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