2009.08.23

09・08・23 コーヒー・ミルのオーバー・ホール

使い始めて約40年になるコーノのコーヒー・ミルをオーバー・ホールした。

最近なかなかいいコーヒー豆に出会わない。そもそも、いつのまにかスタバ・タリーズ文明に毒されて、炭のようなコーヒーを平気で飲むようになってしまったことに味覚の危機を感じていた。

昨日、たまたまいつもと違うスーパーで買い物をして、久しぶりにキャラバン・コーヒーを見つけた。かつてよく飲んだこのブランドなら大丈夫かも知れないとゴールデンキャメルというのを買って帰った。

今日、この豆を挽くにあたって、最近の深煎りの豆の成分がベットリとこびりついているに違いないミルをきれいに掃除しようと思い立ち、久しぶりの分解掃除となった。解体して部品を洗剤で洗ってドライヤーで乾かしただけ。緩んでいたネジもしっかりとめた。それだけのことである。そのスライドショーである。

スライドショーのBGMはNAXOSのシモーネ・イアンナネッリ作曲のイタリアン・コーヒーNo.5 "L'ultimo Caffe insieme"。YouTubeにも音源がある。

そして、やおらゴールデンキャメルを挽いた。ミルの音も乾いて軽やかである。

一口飲んで炭地獄から解放されたことがわかった。キャラバンの説明を読むと、これは日本のコーヒーが「アメリカン」という軽いコーヒーに傾いていた1970年頃に、その対極のコクのある味わいを提供して高い評価を受けていたコーヒーだとのこと。偶然だがスウィートスポットをヒットするコーヒーに出会った、というか再会したにちがいない。

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2009.08.16

09・08・16 ドライエージング・ビーフ

三十数年前、マンハッタンのギャラガーズというレストランで食べたステーキがとても"アメリカン"だった。もちろん鉄板焼きではない。肉質も霜降りではない。食感はトロけない。肉の歯ごたえがある。そして何よりも新鮮じゃない!熟成させた肉なのだ。店の中から黒っぽい熟成中の肉がガラス越しに覗けるようになっていた。

日本流の鉄板焼きは焼いてはいなくて、鉄板と肉の隙間の蒸気で肉を白っぽく蒸してしまうのがイヤだ。歯ごたえのないトロ身は肉を食べた実感がない。ニューヨークのステーキは野蛮だが懐かしい。そういう肉のステーキを日本で食べたことがない、という話をしたら、日本でも買えるよと、ある人が教えてくれた。ドライエージングという熟成方法がミソなんだそうだ。早速、通販の店を探して買ってみた。いわゆる霜降り高級和牛に比べたら価格は安いと言ってよい。その記録がこのスライドショーである。

スライドショーのBGM(Naxos)The Roast Beef of Old England 他にYouTube版もある。その歌詞などのwiki
まずは厚さ3cmの肉をローストビーフのように焼いてみた。焼き方を色々と工夫してみたいところだが、そのつもりで買ってあった2枚目の肉は、いつのまにか冷蔵庫から姿を消していた。うちの息子が肉好きだということを計算していなかった。

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2009.08.04

09・08・04 夏は甲州ヴィーニョ・ヴェルデ

このところポルトガルづいている。数年前にたまたま行った高輪台のポルトガル料理店が面白くて、ソムリエというより宣教師のようなBeppuさんにワインや料理を色々と教えてもらっている。ただ帰宅したころにはアルコールのせいで記憶が消滅していることが多く、また通うはめになる。
DSCF5293干しダラ(バカリャウ)料理を真似るのは手間がかかるが、イワシを焼くのは簡単である。先日近所のスーパーで新鮮なイワシが安いのに驚いた。いや、イワシとしては高いのかもしれない。よくわからない。しかし刺身に比べたらまちがいなく安い。これを見て、そうだ、これをポルトガル風に焼いてみようとひらめいた。

ワインはヴィーニョ・ヴェルデにしようと、同じ店のワイン売場を探した。けっこう品揃えが多いのだがポルトガルはダンが2種類ほどあるだけで見つからなかった。なけりゃ無くてもけっこう。この際、かねてあたためていた実験を敢行すべしと、炭酸水だけを買って帰った。

イワシよりワインが本題である。

DSCF5302甲州種のワインはほんとうにレベルが高くなったと思う。しかしながら、だからと言って甲州種をあえて選んで飲む機会が増えたとは思わない。ここがつらいところだ。

ワイナリーというと芸術品のような熟成高級ワインに注目が行きがちである。ビジネスとしてみると、じっくり樽熟成してから出荷するなんていうことは、ワインという形になった資金を1年以上も眠らせることを意味しており、なかなか恐ろしい話である。

高級ワインはブランドの確立には必要だが、ビジネスとしては、大量に消費される新酒にも取り組むことも大切であろう。仕込んですぐに出荷する新酒は間違いなく資本効率をよくするのだから。

ボージョレ・ヌーボーはそういう商品だが、ガメイ種以外のヌーボーは(私は好きだが)一般的にはマイナーのままだ。甲州ヌーボーもしかり。そこで、思うのが、甲州種によるヴィーニョ・ヴェルデである。

ヴィーニョ・ヴェルデ(Vinho Verde)はポルトガルの若摘みのブドウで作る低アルコール度数の微発泡のワインである。白も赤もある。ビールがわりにグイグイと飲む軽いワインだ。これが日本の夏のビールがわりになるワインなのだが、残念ながらあまり売ってないし、決して安いとは言えない。

DSCF5412日本の甲州種はそもそも食用ブドウがメインで、収量重視の栽培方法もあって、あまり糖度が高くない。これは高級ワイン作りのためには欠点だが、ヴィーニョ・ヴェルデ作りにはお誂え向きではないだろうか?ぜひどこかのワイナリーで挑戦していただきたいものだ。

とはいえ、それを待っていると何時までたってもさっき買ったイワシを食べることができない。そこで私は、甲州種のワインを炭酸水で割って、擬似的にヴィーニョ・ヴェルデを作りだそうというわけだ。

勝沼醸造のアルガブランカ・クラレーゼは12度ぐらいなので、ワイン2に対して炭酸水1ぐらいで8度ぐらいに薄まる。やってみると、おおむね、ヴィーニョ・ヴェルデ感を楽しむことができた。けっこうオススメである。ただし、炭酸水でも硬度があまり高いものは向かないように感じたことを付け加えておく。

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2008.09.28

08・09・28 スコルピオーネ軽井沢でアレアティコに再会

スコルピオーネ9月20日の土曜日、ゴルフに出かけた軽井沢の夜、イタリア料理のスコルピオーネに繰り出した。タクシーの運転手が言うには「子供は入れないらしいよ」と。我々は年寄りばかり5人だが、要するにちょっと気難しい店らしいですぜ、ということか。

そうなのかも知れないが、我々は食事を存分に楽しませてもらった。

なによりも、メニューの筆頭に上がっていたこともあり何気なく注文したバーニャ・カウダは、興味津々の逸品だった。この正体についてあれこれ考え推理していたので、デジカメに撮るのを忘れてしまったが、通り一遍のレシピではないことは明らかだった。

野菜はすべて湯通ししてあり、パリパリの新鮮生野菜は出さない。それもちょっと珍しいとは思う。だが、なによりも、バーニャ・カウダのソース自体が独特なのだ。

一見してわかるのは、オリーブオイルがソースに浮いていないということ。というより、果たしてオイルが入っているのだろうか?と訝しく思われるほどだ。

口に含むと、ひときわクリーミィで滑らかな食感があり、非常に丁寧に裏漉ししてあることがわかる。

バーニャ・カウダは、ともすると、オリーブオイルの緑色とすりつぶしたニンニクのペーストが相まって、カニミソを思わせる仕上がりになるモノが多い。しかし、ここのは色が肌色のように明るいし、質感もカニミソを更に漉したような感じだ。見た目も味わいもニンニクの気配がほぼ完璧に消えている。ひょっとしてニンニクを使っていないのではないか?!いや、ニンニクの他にも何か入れているのではないか?という感じがしないでもない。

アンチョビ臭はかなり弱め。十分に塩抜きして使っている感じ。感覚的にはアンチョビ・ペーストをほんの微量たらしただけのように感じる。

メニューにバーニャカウダと書いてなかったら、それとは気付かないで食べたかも知れない。

なんか変だなと思って、同席した仲間に、そもそもバーニャカウダはニンニクを牛乳で煮込んで…して…したモノなんだが…と話していると、老オーナーシェフ氏が往年の日活映画の宍戸錠のように「チッチッ」と軽く首を振りつつ絡んでくる。違うと言いたいらしい。

そもそもバーニャカウダは30年以上も前にイタリアから戻ってきた時にメニューにいれたものとのこと。店の客は老齢で歯の具合がよろしくない人も多いので、野菜はやわらかく茹でることにした。ソースも日本人の味覚に合わせる工夫を凝らしたというが、作り方は教えられないという。「キノコが入ってますかね」「生クリームかな」等と探りを入れてもニタッとするだけで答えない。

話を変えて「スコルピオーネ」という店の名前の由来を尋ねたら、これはイタリアの車の名前から取ったという。

DSCF3371食後、デザートワインについて、メニューに載っていないが、アレアティコがあるかどうか、だめもとで若いソムリエに尋ねてみた。10年ほど前に、銀座のトリフジで、濃い果実味の甘さと酸味の絶妙なバランスをそなえたこのワインを味わって以来、色々な店で尋ねてみるのだが、多くのソムリエは首を傾げるばかり。イタリアではごくごくあり触れたアレアティコ種のブドウによるデザートワインだと聞くのにおかしいではないかと思って来た。

スコルピオーネのソムリエ氏もまずは首を傾げたが、ちょっと調べて来ますと奥に下がった。しかし彼は、なんと、一本のビンを持って戻って来たのである!ワインリストに特集として掲載していた日本人が関係しているイタリアのワイナリーの商品の中にあった、というのだ。アレアティコに再会できるとは!私も初めてのことに大いに驚いた。そして、飲んで感激、これぞ長年イメージして来たワインだった。

そのワイナリーだが、確かにワインリストに一枚の特別リストが挿入されていたことは記憶していた。改めてネットで調べてみたが、たぶんこのブリケッラ農園に違いない。ALEATICOのボトルが写っている。ブリケッラのホームページもあるが、こちらの商品リストには載っていない。

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2008.09.04

08・09・04 トルティージャ・チップス

私はメキシカンというかテキサスというか、特徴的なクミンの臭い(あえて香りと言わない)のする料理がわりと好きだ。チリビーンズなんかはムッと汗臭い感じで最初は抵抗があったが、いつのまにか懐かしい味になっていた。納豆ほどではないにしても、いわゆるacquired tasteにちがいない。

カリフォルニアでメキシカンの店に行くと頼まなくても出て来る突き出しみたいな位置づけにあるのがトルティージャ・チップスだった。ポテトのかわりにトウモロコシの粉で作った歪んだ三角形のチップス。ポテトチップスに比べると肉厚で堅いので、トマト・チリ味のサルサ(ソース)をすくっても形が壊れない。薄っぺらいポテチでは難しい芸当だ。味はやや淡白というか旨味に欠けるというか、スナック菓子になる以前から存在した素朴な食べ物という感じがする。

だが、食前にビールを飲みつつこれを食べ始めるとやめられなくなる。チップスが切れると追加を頼む。ビールジョッキが空になるともう一杯。よく考えるとチップスがタダだと安心させつつビールで売上を稼ぐというビジネスモデルだったようだが、やめられなくなる本当の原因はサルサだと思う。

かつて日本では輸入物のトルティージャの代表銘柄と言えるドリートスは売っているのだがサルサがなかなか見つからないという、トルティージャ好きにとっては悩ましい時代があった。仕方ないので当時サルサは自作していたものだ。ハラペーニョが手に入らないので、ほかの種類のトウガラシで代用したりしたが、クミン、クローブなどのスパイスを適当に入れるだけでそれらしくなった。

たしか20年ほど前だと記憶しているが、明治製菓だったか?袋詰めのトルティージャ・チップスを発売したのだが、どういうわけか、サルサがついていない。刺身を売り出して醤油を教えないようなもので、これではトルティージャの本来の魅力は伝わらないよなと見ていたら、いつのまにか棚から姿を消していた(と思う)。

あの当時に比べると今はサルサを売っている店はそこら中にある。しかも辛さも色々取り揃えている。

そして今日知ったのだが、サルサ入りのコーンチップなんていうモノまで出ているのだ。ようやく刺身とワサビが一緒になった!たいへんにめでたいことである。

このコーンチップ、9月22日新発売らしいので当然まだ食べていないのだが、ちょっと気になるのはチップの厚さだ。はたしてサルサをシッカリとすくうことができるかどうか。さらに、食べ過ぎになりやすいスナックだけに塩加減は控えめであってほしい。もう一つきになること。トウモロコシがバイオ・エタノール用に栽培されるという時代のコーンチップは、果たして将来的に値上がりしないだろうか?

トルティージャ・チップスとビール。これが普通の組み合わせだろう。真夏だとビールはコロナのような軽いのがいい。濃い日本のビールを炭酸水で割ってしまう手もある、真のビール党の人は呆れるかも知れないが。

ワインだと、ポルトガルの微発泡性の度数の低いワインであるヴィーニョ・ヴェルデ(Vinho Verde)なんかがいいかも知れない。これはたぶんガブガブ飲むためのワインだと思うのでビール代わりに使える。

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2008.08.02

08・08・01 内藤大助の勝利⇒Blackeye Zinfandel⇒判定負け

DSCF3079ボクシング・ファンではないが、内藤大助の防衛戦は、たまたま自宅に居たのでテレビ観戦した。泥沼にズルズルと沈んでゆきそうな劣勢ムードの中での逆転KO勝ちには驚いた。

キャラクター的には遠慮がちに後ろに引きこもる感じで威圧感がない内藤選手だが、じつは強烈なパンチ力を持っているらしい。

このシャイなヒーローの「自信過少」は、今の日本のムードそのものかも知れない。うむ、そう言えば、突然リングに上がってTBSのテレビカメラを意識しつつチャンピオンの耳に話しかけたあのブーイング・ボクサーのニーチャンは、このところ口ばっかりのアメリカ経済の象徴だったのかも知れない。

DSCF3081ということがあったので、金曜日、帰宅途中に寄ったあるワイン売り場で、この"Blackeye Round One"というZinfandelに目が止まってしまった。ラベルにはファイティング・ポーズをとるボクサーの絵がある。蛇足だが、名前の意味するところは1ラウンドで既にパンチを食らって目の周りが黒いということで、このワインは、飲み手をあっと言う間にノックアウトするぞと示唆しているわけだ。ラベルのデザインは念入りに試合のチケットを模している。お客さん、チケット買いますか?と問いかけている。

しかし!作り手はおろかヴィンテージもわからない。いかがわしいジンファンデルだ。最近、ワインが売れないもんだから、こんなことになっちゃったのかな?取り上げたボトルを棚に戻したり、また手に取ったり。ちょっと迷う。

Zinfandel飲み(最近さぼっているが)としては、"Blackeye"というwordにちょっと惹かれた。Zinfandelはその濃さゆえに"Black chicken"(Biale)なんてのもある。禁酒法時代の隠語の名残なのだが。

"Blackeye"のアルコール度数は14.3%。とてもノックアウトされるような強さではない。Zinとしては平凡だ。

結論は、好奇心が刺激されたことに素直に反応してみようということにした。価格は2千円台。

DSCF3080家に帰って抜栓してみてニヤリとさせられた。なんとコルクには"Alderbrook"とあるではないか。私としてもささやかな思い入れがあるワイナリーだ。

"Blackeye"はごくフツーにZinfandelのクセをもった平均的なワインだった。毎度思うことではあるが、Zin特有のこのクセ、これを言葉でなんと表現するのかな?…と考えながら飲んでいたら、ボトルはすでに空になっていた。

かくして、今夜もZinfandelを言葉にすることができず、"Blackeye"ノックアウトはまぬがれたものの、時間切れで判定負けを喫した。また挑戦せねば!

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2008.05.11

08・05・10 ボージョレとは思えないMORGON

2000年のMORGON。このワインの正体を私は知識として持ち合わせない。何となくそろそろ開けないといけないかなという直感だけで開けた。デカンタージュしてみるとけっこうオリがあった。

DSCF2666ブルゴーニュだということはボトルの形でわかるわけだが、Hugh Johnsonを調べるとボージョレとある。なんだ、ボージョレかよ、となるところだが、解説には★が三つもついており、けっこうな褒め言葉が並んでいるではないか。

飲んでみると、とてもヌーボーでおなじみの同じガメイ種とは思えない。2000年はちょっと遅かったかも知れないが、決してへたってはいない。あと2-3年早く飲んでいればもっと驚いたかも知れない。初めてボージョレを見直した。

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2008.05.06

08・05・06 サザエの壺焼きのコツ

サザエの壺焼きは、螺旋状の身のクルクル巻いた先端の先端まで、完全に抜き取るのがなかなかむずかしい。無神経に引っこ抜いたら簡単にちぎれてしまう。殻の中に取り残された先端部分はまず回収不能となることを覚悟しなければならない。

家庭の食卓でのことなら、やったことはないが、トンカチで殻を割ることも考えられる。が、料理屋となると、金を払っているにもかかわらず、先端部分の回収命令を出すのは極めて困難である。失敗の直接的な原因は自分の不器用さか軽率さだろうし、言えばケチだと思われるだけだろう。回収できる数センチの身と失う名誉を計りにかけると、仲居さんが下げようとする一見空の壺に「待った!」の声を掛けたくても声帯はマヒしてしまう。

もっとも今では大抵の料理屋は切り刻んだ身を壺に戻して持って来るのでこの悩みは発生しないのだが、それもなんだかつまらないものである。

サザエの壺焼は、食べるだけでなく、身を完全な形で取り出すことも楽しみのうちなのだ。

身を殻と共通の軸に対して正確に回転させつつ、焦らずユックリと引き出す。わかってはいるのだが、私自身、何度も失敗した経験がある。

そもそも先端の方は、ヘタ近くの筋肉質の身とは違って、噛んでも歯ごたえのない崩れやすい性質である。それがあの精密な螺旋空洞の中にピッタリと収まっているわけだから、すこしでも殻に焦げ付いたりしたらもう引き出せない。千切れるのは調理する側にも責任の一旦があるのだ。

DSCF2626この連休中、ゴルフの帰りに寄ったスーパーで新鮮なサザエを見つけた瞬間、以前、ある鮨屋で教わった壺焼きのコツを思い出して、実際に試してみたくなった。

サザエを焼く前に、まず湯につけて軽く茹でるというのだ。壺焼きならぬ壺茹で。聞いただけでナールホドと思うワザである。

茹でた後にヘタの隙間から醤油や出汁を補給して殻を直火にかけるわけだが、これはもはや調理をしているというよりは、仕上げの味付けをしているだけなので、煮立ったらもう火からおろしてよい。煮詰めてしまっては茹でる手間をかけた意味がない。

やってみたのがこの証拠写真だ。

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2008.02.07

08・02・07 勝沼醸造からの手紙

勝沼醸造からの手紙先日受け取ったこの手紙はニュースだった。全く知らなかった。1月30日にはここに報じられていたのだが、気づかなかった。勝沼醸造のイセハラが「キュヴェ・マグレ・アルガ 2007 イセハラ」としてヨーロッパにデビューするというもの。

イセハラは魅力的な白だと思う。きっとヨーロッパでもファンが付くだろう。

[追記 2月9日]
2月9日土曜日の朝、NHKのニュースで取り上げられた。けっこう大きな扱いに正直なところ驚いた。「私たち人間が産地の風土に挑戦してあらわす表現がワイン」だと社長の有賀さんは語っている。

数ある勝沼醸造のワインの中でも特にイセハラに人々の興味が集中したことを踏まえて、ワインの価値をそのように理解したというか、突きとめたのだろうと私なりに想像する。

イセハラNHK前にも書いたが、私もイセハラを体験して初めてテロワールという言葉の本当の意味にちょっと近づけたと感じたものだ。

昨年11月に朝日ヘラトリと日本ソムリエ協会主催のワインのチャリティ・イベントに行ってみたら、なんとテーマは甲州種だった。サントネージュの20年ものの甲州の古酒を味わうことができたのが私には大きな収穫だった。ただし、イベントの真の狙いは、ヘラトリ読者である在日外国人をターゲットに甲州種を宣伝することにあったようだった。(勝沼醸造は出展していなかった)

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2008.01.21

08・01・21 甲州F.O.S.とココファームの様々なこころみ

さくらさくらは相変わらず日本産ワインに鋭い目配りをしている。おかけで今夜も珍しい甲州ワインを体験することができた。CoCoFarmの「甲州F.O.S.」。Fermented On Skins、つまり甲州種のブドウの皮も一緒に発酵プロセスの中に放り込んで作るのだとのこと。

私の狭い体験で言うと、昨年とりふじで飲ませてもらった貴腐ではないセミヨンの古いもの(あれは何年ものだったか?忘れた)と印象が似ていた。こっちは確か2005年だから別に古いわけではない。Skinsの効果なのだろうか。非常に興味深い味わいがあった。もう一度改めて飲んで印象を確認したいと思った。

Tannat Nortonというのも面白かった。ノートンというブドウの種類は初耳。Jancis Robinsonの本によると北米種のハイブリッドの一つで、別名Cynthianaとあるのみ。それ以上の解説がなにもない。傍流のブドウだということだけは間違いない。

こちらのblogによると足利に立地するココファームの気候条件と似た地域で育っているブドウということでTannatとNortonに目を付けたのだと解説している。

なるほど。Zinfandelだってクロアチアを離れてカリフォルニアに移住して本領を発揮したのだから、メジャーなTannatはともかく、Robinsonの本でも北米で"occasionally encountered"としか書かれていないNortonとなるとどうだろう。この広い世界の何処かに自分の才能が開花する土地があるかも知れない、と考えてもおかしくない。

ココファームはまさに「こころみ」の看板に偽りがない。

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